1.基調スピーチ
「会長の責務と人道的奉仕の重点化」
リーダー 後藤 定毅 (大和中)
【ガバナー:後藤定毅】
ここからは会長分科会ということで、私と森エレクトの2人で会員の皆さんにセッションを進めさせていただくというということで、やらせていただきます。

午前中のPETSで三つのRI長期計画の「クラブのサポートと強化」ということで皆さんにセッションを受けていただいたという部分で、2つ目に『人道的奉仕の重点化』というのがあります。

3つ目に『公共イメージの認知度アップ』、そういう3つのRIの推奨する長期計画がある訳でございますが、私が「人道的奉仕の重点化と増加」、森エレクトが「公共イメージと認知度の向上」をやろうという指示を山地研修リーダーから受けてますが、私はクラブの運営には会長の責任が影響するという風に思います。

私は、会長の責務というものを重点セッションにしたいと思う訳ですが、「人道的奉仕の重点化と増加」という使命もございますので、それを先に説明させていただきたいと思います。

今日のプログラムの冒頭に国際ロータリーのテーマロゴが印刷されていると思いますが、テーマは『こころの中を見つめよう 博愛を広げるために』ということが、先ほど森エレクトからもお話がありました。

私のイメージは6本の曲線と色で心(ハート)を表現し、奉仕の理想を広げる為にロータリーの理念と理想を表現し、自分自身の心の中を見つめようというイメージで、インド的な雰囲気も感じられるように思います。

先ほど森エレクトが3つの強調事項のイメージだと仰いましたが、多様な世界の組織のロータリーですが、イメージの膨らまし方はそれぞれ異なると思いますが、心のイメージは色んな色で表現されていると思います。

そして、クラブのサポートと強化、人道的奉仕の重点化と増加、公共イメージの認知度の向上ということが、RIが推奨している長期計画の2010〜13年度の長期計画の内容でございます。

RIは「ロータリーは、「地域の人々の生活を改善したい」という情熱を社会に役立つ活動に注いでいる、献身的な人々の世界的なネットワークだ」という風に現しておりますし、ロータリーの中核をなす価値観は奉仕・親睦・多様性・高潔性・リーダーシップではないかと思う訳です。

その部分で人道的奉仕の4つの項目が謳われている訳ですが、


  ●ポリオを撲滅する新世代奉仕プログラム
  ●ロータリー財団の6つの重点分野における奉仕の継続性を高める
  ●他団体との協力やつながりを深める
  ●地元と海外の地域社会で多大な成果をもたらすプロジェクトを創造する


・・・ということです。


ロータリー財団の重点的な6つは何かという訳ですが、平和と紛争防止・紛争解決、疾病予防と治療、水と衛生設備、母子の健康、基本的教育と識字率向上、経済と地域社会の発展、ということが、ロータリー財団がこれから徹底的に取り組むという重点分野でございます。

国際ロータリーの会員であるクラブは、RIの方針に沿って活動していただくということが望ましいのですが、個々の奉仕活動について自治権がある訳であります。

RIの規則に背かない限りは、個々のクラブで良い方法を自由に考えて良いのでございまして、ここに会長の責務というのが重要視されると思う訳でございます。


会長エレクトのみなさん、なぜみなさんはロータリーの門を叩き、入会されたのでしょうか。


  ●心を通わせる親睦をつくるため。
  ●事業を発展させるため。
  ●自己を研鑽するため。
  ●地域社会に貢献するため。
  ●国際的な親睦を深めるため。
  ●世界に奉仕し問題を解決するため

・・・などの理由があろうかと考えられる訳でございます。


ところが、夢というか自分の考えを持ってロータリーの門を叩いて入会した訳でございますが、最近の会員減少は非常に目に余るというか、どんどん減り続けています。

世界ではこの9年で4%増加している。
ところが日本は25%の会員が減少してしまっている訳でございます。
更に我が地区は、28%も減少をしてしまっています。

私が考えた会員減少の理由というのは、日本経済の停滞と不安定・不透明な経済環境・中小企業の衰退・経営者の高齢化あるいは後継者不足・地域の過疎化など、社会構造上の問題が色々影響しているのではないかと思われます。

重大な要因としては日本経済の伸長とともに増強・拡大を急ぎすぎ、ロータリー情報教育が疎かになってしまったのではないかと思われます。

ロータリーを知らない会員が多くなり、会員1人1人の関心・愛情・熱意が薄れ、自らの自信と誇りを失いかけているということが推察される訳でございます。


それを防ぐということで、RIの推奨する考え方として「効果的なクラブになる」ということが望まれているのでございますが、「効果的なクラブ」の4要素とは、


1つ目は、『会員基盤を維持・拡大』すること。
会員がしっかりした形で維持拡大していければ、良いクラブではないかと。

2つ目は、『成果のある奉仕プロジェクトを実施』すること。
ロータリーはそれぞれ地域に生まれて、地域に根付いて歴史を刻んできたことでありますから、地域の認知を受けるような奉仕活動を考えて、実施するということではないかと。

3つ目は、『ロータリー財団を支援』すること。
財団の活動を知るとともに、参加し、財政的な支援も目的にしていただくクラブは良いクラブではないかと。

4つ目は、『クラブレベルを超えたクラブ指導者を育成』すること。
今日、会員エレクトの皆様や66クラブの会長が知り合う機会になった訳でございますが、これから地区の中でクラブを超えた指導者というものになっていただくということを進めていく内容でございます。


それでは、会員基盤を維持・拡大するということは、ロータリーはクラブが基本ですからと森エレクトも仰っておられますが、クラブに魅力がなければ会員を維持増強できない、したがってクラブは発展しない、ということになるかと思います。

まず『会員基盤の維持・拡大』をするにはどうしたらいいかということですが、魅力にも陰りが見えてきまして、理念のない組織は衰退すると言うが、理念はあるが、正しく伝えられていない、理念本質が理解されていないために、会員の規範が薄れ、会員の不祥事も目立ち、社会からの信頼信用さえ損なわれ始めている。

例会のバッチ未着用会員も多く、ロータリアンの誇り・愛着が薄れつつあるのが現状ではないでしょうか。

出席率もマナーも低下しており、全国の平均例会出席数も会員の減少に正比例して減っているということで、97年・98年の時には91%だったのですが、07年度から08年度には86%に減少していること。

例会の遅刻・途中退席が目立ち、卓話中の私語・居眠りも非常に多い。
代返や代筆までして出席を確保しているというような、マナー低下が見られると言われています。

さて、ロータリーの本質は何かということで、そもそもは日本のロータリーの発生地的な部分で『一業種・一人制度』と『相互の扶助』ということを大きな柱にしていた、あるいは1週間に1度の情報交換による『出席の価値』があった訳ですね。

お互いファーストネームで呼び合うような親睦の価値、森エレクトはあだ名で呼ばれるような親しみやすさを持った、ロータリーの本質を行動で現しておられるなぁと感じたのですが、1年交代制による他者への思いやり精神の寛容もロータリーの本質ではないかと。

さらに、他団体にない『職業奉仕の理念』というのがある組織であります。


それでは、効果的な組織になるというRIの推奨の精神には、さらに輝きを増すための具体策としてどうしたらいいかということですが、

  ●ロータリー情報の充実・徹底・提供機能の強化をする必要がある。
  ●ロータリーは100年の歴史を持つ組織である。
  ●職業奉仕を大切にする組織である。
  ●地域・国際社会に奉仕する組織である。
  ●日本最大の奨学制度を有する組織である。
  ●相互に刺激し合い、自らを磨き、高める人々の集う組織である。

・・・そのような大きな特徴であろうと思いますので、そのロータリー精神の理解不足を無くすことが、輝きを増すための具体策の1つだと思います。


例えば、例会はどのような会であるべきかということですが、例会はロータリアンの心を癒す安らぎの空間、オアシスではないかと。

あるいは、1週間に1度の仲間と会う「元気の再生工場的機能」ではないかと。

激励して、祝福し、知恵を授けあう、思いやりに満ちた和みの空間を創る場ではないかと。

会員相互に惜しみなく拍手を送り合う習慣などをすると、緊張感が溶け、喜びが増すのではないかと。

例会の雰囲気が盛り上がり、温かく一体感の溢れるロータリアンのオアシスになれば。

あるいは会員を温かく包みこみ、居心地を良くし、疎外感を感じさせないようにすれば、例会が待ち遠しくなる。

そうしますと、例会こそが会員に入って良かったと実感する場になるだろうと思います。


例えば、例会を重視した温かいクラブ創りはどうしたらいいのかということなんですが、私なりに考えたのは、テーブルがいつも同じ人で占められていないか、あるいは会長の時間に周到な準備で臨んでいるか。

クラブを率いていく会長としては、会長の時間を有効に使って、ロータリー的な理念とか歴史とか、あるいは奉仕活動のようなことを会長の時間として、訴えていただくということ、心育むことが会長の責務ではないかと思うのですが、プログラムの充実ということで必ず後半の30分は卓話者を吟味して、外部から呼んで来られたり、あるいは仲間を知るための時間としてお考えになることも必要ではないか。

卓話中はゲストに顔を向けて、私語・居眠りをしないで聞いているかも大きな緊張感を持つことに必要なことかと思いますし、激励・祝福・労いの拍手は惜しみなくしているか、卓話者は不快感や相手を傷つけている言動をしていないか、あるいは休みがちの会員は何かの理由で欠席をされる訳ですし、欠席が続くとロータリーはつまらなくなってしまう訳ですから、誘い合って、会員を思いやっていく気持ちを持つことも大切だと思います。

それから世界的な組織でありますし、感動がそこら中にいっぱいある組織ですから、感動ある地域、国際社会での奉仕活動に積極的に関与していただくと、感動が増すのではないかと思いますし、職業を通じての奉仕、あるいはインターアクトクラブ、スポンサーをされていないクラブ以外にも組織として関与していただくと、新しい発見がありますし、

「青少年交換」は順番に皆さんのところに行くと、非常に良い制度だと感じていただけるのではないかと思いますし、更には財団の国際親善奨学生、研究グループ交換なども感動を感じるプログラムではないかと思います。

金品の寄付だけではなく、地域を巻き込み感動ある奉仕、お金を出すことはさることながら、地域が必要としている、喜んでもらえるような感動的な奉仕をすることが、ロータリーの認知度の向上に繋がるのではないかと思います。

そして、達成感のある奉仕をすることで受ける感動は、何ものにも代え難いと思いますし、私もアムダ・ノエビアの合同医療プロジェクトに関わる呼びかけをして、多くの人に名乗りを挙げていただいた時には、素晴らしい人達の集まった組織だと実感した1人でございます。

経験が人間を成長させるということもございますし、この奉仕活動に関与していただくということになると、ロータリーが『周囲の方々に感動を与えるマジシャンの役割』を果たせるのではないかと思います。

クラブはRIの会員である訳でございます。
その地区はクラブを支援するためにあると思います。
地区とクラブ相互の信頼・信用関係の構築をやっていきたいと思いますし、森エレクトも方針の中でも仰っております。

会長の理解やクラブ協議会を、RI地区・クラブ役員への情報伝達を丁寧にしっかり確実にしていただくと、誤解が生まれない訳でございます。

当然その逆の情報を、クラブは何を考えているのかということを訴えていくことも必要だと思うんですね。

ガバナー補佐、あるいはクラブの委員会・幹事グループにも、クラブの要望等をしっかりお伝えいただくということが、双方向の為になると思われます。

そして、PETSや森エレクトのお話の中にありました『クラブの研修リーダー』というものが、次年度から設置をしていただくのですけれども、クラブの枠を越えた将来の指導者育成研修が必要だと思うんですけど、地区の研修会合への出席、新会員の為のオリエンテーション、現会員の為の継続的研修の機会、全会員への指導者育成への提供というものを研修プランとしてお立てになると、クラブの魅力というものを高い理想を目指して、ロータリアンとして勉強できる機会になるかと思っています。

その為には研修リーダー、あるいはガバナー補佐・パストガバナー補佐・地区委員会・元地区委員会に積極的に相談して、依頼してもらえれば色んな形のアドバイスをしてもらえると思います。

地区の組織、森エレクトが運営における簡素化を心がけておられますが、研修委員会・研修リーダーの役割としては、クラブの指導者育成研修、あるいはクラブ奉仕・ロータリー情報委員会クラブの運営や、クラブの理念の研究になる。

広報・雑誌委員長は、リアルタイムの情報提供や『ロータリーの友』の研究材料にしてもらう。

会員増強・維持委員長は、ロータリー家族委員会含めて増強の成功に向け、アドバイスをもらえるのではないかと。

職業奉仕委員会は、ロータリー理念と職業理念の理解・社会奉仕・国際奉仕は、クラブの幅広い奉仕事業に使えるのではないか。

新世代委員会・青少年委員会は、次代を担う子供たちの理解に務めることが出来ると思います。

財団の関係は、世界の平和の為の参加による理解と支援になると思います。

米山奨学委員会・学友委員会は、奨学金制度や活動の理解と支援になるかと思われます。

そういう組織としての必要な部分は、明確なコミュニケーションが必要ではないかと。

クラブ役員・地区指導者との連携・連絡・意思を疎通するということが、必要ではないかと思います。


さらにRIの長期計画には、プランの長期計画を立てる必要があるというのが進められていることでありますが、方針やプランの継続性ということで、毎年交代する為にクラブは毎年指導者の育成をする必要がある。

会長・会長エレクト・会長ノミニーの気密な連携と、関与・継続性の維持が必要だと思います。


1番大事なことは、会員同士の親睦です。

ロータリーは親睦に始まり、親睦に終わるということを聞かれているかと思いますが、やはり親睦の重要さを当たり前の様にしているだけでは、本当の親睦は生まれないのでございまして、クラブ会員の更に親睦を深める機会を作る、個人個人の多様性を生かし最大限に交流の機会を提供し、上下関係・社会関係を排除した徹底的な平等関係を作りだすことです。

知らない相手には冷たい訳ですから、知り合いには優しいという部分でより密度の高い親睦を目指すべきであろうと思います。

知り合いを広め、童心に戻る、親類付き合い、家族ぐるみの付き合いをすると、さらに親しさが増すというのは事実ですから、その結果としてお互いの仕事・商売の相互利用の扶助に繋がっていくという、ロータリーに相応しい原点に行き着くことではないかと考えられます。

そして運営面における部分では、会員全員の関与ということで、クラブ理事会は最終決議機関ではございますが、その理事会や担当委員会だけのものにしないで、委員会や事業の透明性を高めるということが必要ではないか、一部の会員による固定化をしないということも、組織としては非常に大事で、硬直化してしまわないように、会員の全員で義務参加の機会が必要ではないかと。

会員全体がクラブの運営に活発に関与すると、全員がクラブ全体について学ぶ活発な会員になる、というメリットが生まれてくると思います。

そして、会員維持のためには「家族が参加出来るプログラム」を作ると、雰囲気が良くなり、家族が『辞めないで』と言う効果も出てくるかもしれませんので、このような試みも必要かと思いますし、病気になる退会者への『感謝のねぎらい』も大切なことだと思います。

会員間の確執を無くし、ロータリーライフを楽しくすることが会員を維持していく大きな要素になろうかと思います。

新会員がロータリーの雰囲気に溶け込めるということで、2月にガバナーあるいはエレクトとして新会員の集いに参加した訳ですが、非常に新会員の方々がクラブの財産な訳ですけれども、この集まりに出て良かったという風な印象を仰っておりましたので、自分のクラブに馴染んでいただくということで、周りのサポートが必要でございます。

ロータリーはどんなクラブということでございますが、ロータリアンは人間的にも商売的にも職業人として素晴らしい、ロータリーの会員企業としては『信頼できる安心な、あんな人のいる組織に入りたい』と、地域の人々から思われるようなクラブになって行けたら良いと思います。

皆さんに期待することは、ロータリーにルネッサンスを、再構築をお願いしたいということ、そして国際ロータリーは、広報を重視しております。

公共イメージアップを図るため、広報に大変な金額をRIは地区に補助されるという風に聞いております。

野外看板・テレビスポット・DVD・ビデオ・チラシ・ポスターなどのリソースを提供していくという方針のようですので、積極的に活用していただければと思います。

ロータリーのイメージアップは地域を感動させる奉仕活動であり、その前にクラブという器そのものを求め、輝きを増すということが大切なことだろうと思いますし、1人1人がロータリーのイメージを高める最良の広告塔になるというようなことが、会長の考える責務ではないかと思います。


後ほど皆さんからご意見・ご指導をお聞かせ願えればと思います。
以上で終わります。

ありがとうございました。
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