【茅ヶ崎湘南RC:神崎正陳】
はい、ありがとうございます。あと55分あります。
まず会場からご質問があれば出していただいて、それをきっかけにして討論に入っていければと思います。
おふたりのお話は、全く違った面からの職業奉仕へのアプローチでしたけれども、ロータリー運動というものを語ることは、切り口をどこにしても、最後は「奉仕の理想」の実践にいたって完結するものだと思います。
社会奉仕、国際奉仕と、喧々諤々論じても、たどり着く終着点は同じところというのが、ロータリー理論の面白いところであり、分かりにくいところでもあるのです。
職業奉仕についても、謂わば百家争鳴いろいろ人がさまざまに自説らしきものを論じています。
亡くなられた2580地区の佐藤千寿さんも何回も当地区大会に見えて、「職業奉仕なら俺に任しておけ」と、絢爛豪華と言いたくなるようなお話をしてくださいました。
話を聞いた人たちは、非常にいいお話を聞かせてもらった、やっと職業奉仕が分かった、と思うのですが、これを何十年も繰り返してもなんだかまだよくわからない。
職業奉仕というものは、そういうものなのでしょう。
さて、おふたりのお話について何かご質問はありませんか?
【逗子RC:??】
今日リーダーのお話は、大変いいお話でした。
しかし、入会1・2年の人にこの話をすると、みんなクラブをやめてしまうと思うんですね。
何を言ってるか、面白くないので、ロータリー歴が10年以上ある人達は我慢して聞いてられるのですけどね。
逗子クラブでは入会1・2年目の人達にどのように言っているかといいますと、
「職業奉仕・社会奉仕・国際奉仕の3つを新入会員に紹介する時には、ある会社がプールを作らせました。そこで従業員を泳がせるのが、これが『職業奉仕だよ』と、近所の人を呼んで泳がせるのが『社会奉仕』、外人を呼んで泳がせると『国際奉仕』なんだよ・・・」
という風に教えますと、非常に分かりやすいです。
今日みたいな話をいきなりやりますと、誰もいなくなっちゃうということです。
皆さんのクラブでは、どのように新人教育をしているのか非常に興味があります。
【茅ヶ崎湘南RC:神崎正陳】
今のご質問に対して、ご意見のある方いらっしゃいませんか?
今日お見えになっている方は、1年生はあまりいらっしゃらないですよね。
来年、職業奉仕委員長になろうとする人が大部分ですから、むしろ経験を積んだ方が多いんであろうと思いますけれど、何か分かりやすく説明する方法や、ご意見はございませんか。
大変、大切なことなんですけれど。
【相模原グリーンRC:山本正司】
目から鱗が落ちたのは、入会して4・5年のことでしたけれども、クラブ名は忘れましたが黒河内先生を卓話で呼んだ時に、「職業奉仕が最もお金が儲かるんだよ、病院もやっておりますので看護師さんも先生の職業奉仕に対する気持ちが通じているからでしょうか、そういうことで目に見えないけれど、本人が希望しなくてもお金が入ってくるんだよ」と、
一言で言えば、「職業を一生懸命頑張る」というのは皆さん同じなんですけれど、そこにプラスアルファすることが職業奉仕ということで私は理解して、佐藤先生の話を聞いているんですけど、うちのクラブではクラブ会員全員の「職業奉仕観」という冊子を作ったり、職場訪問もやったし、いろいろな職業の方を呼んでお話を聞いています。
私のクラブは今、会員数は38人ですが、今年は何をやって、いかに逗子のように若い人に職業奉士を理解してもらうか、どのようにしたらいいかは、これから案を練って出していこうと思っております。
【茅ヶ崎湘南RC:神崎正陳】
職業奉仕を論ずることが、ロータリー運動を深めることにならず、単にロータリーを難しくしてしまっているという問題があります。
また先ほどのプールのたとえにあるような、奉仕を「四大奉仕」(来年度から「五大奉仕」ということになるようですが)に無理に分類することも弊害の一つと言えるでしょう。
よく耳にすることですけど、CLPが採用される前のことですが、職業奉仕と社会奉仕はどこが違うか、という質問に対して、タクシーの運転手が乗せたお客さんがお金に困っていることを知り、目的地までタダで乗せていくのが社会奉仕、料金を割り引きするのが職業奉仕だというような説明を土台にして、よく議論をしていましたが、現代でもこのような形式的な議論を弄ぶ風潮はなくなっていません。
医者が無料で医療行為をしているのが職業奉仕と言えるかについて、無料でやるのは社会奉仕だと、真面目な顔して議論している人がいますが、四大奉仕だ五大奉仕だと、便宜上の奉仕の分類を金科玉条に祭り上げて、奉仕の理想の実践というロータリーの基本理念を忘れて無意味な議論をするのは嘆かわしいことです。
綱領を見てください。
『奉仕の理想を育成し鼓吹する、これがロータリーの目的である。』
とあります。
4項目の前に、前文のように書かれていますが、ごく簡単に申しますと、ロータリー運動は、クラブに入会して、そこで異業種の会員たちと交流を重ね、親睦を深め、会員相互ひとりびとりが「奉仕の理想」を会得するようになる。
その会員たちが、社会の様々な場において奉仕の理想の実践をする。
そういうことが、ロータリー運動の原点的考え方なのです。
この考え方は、国際協議会で、ガバナー・エレクトが研修を受ける会場に掲げられ、本日の全体会議場にも掲示されている「入りて学び、出でて奉仕せよ」という標語に化体されていると言って良いでしょう。
つまり、ロータリー運動と「…大奉仕」とは、直接の関係はないのです。
職業奉仕いう言葉を、先ほどお名前が出た黒河内先生が言われたように、ごく単純に、誠心誠意、職業を遂行することと考えることも尊敬されるべき一家言だろうと思います。
ロータリアン一人一人が、ロータリー運動の中から得たものを整理して、自分のロータリーを創っていくことではないでしょうか。
【??】
20年近い前の話になりますけども、当時の私は週報の担当をしておりましたけれども、社会奉仕委員長がたまたま青少年委員長担当の話をしたいというようなので、卓話にお招きしたことがあります。
休憩のときに内容の確認をしたら、ロータリーは単年度で委員が入れ替わることを指摘されました。
ロータリーはプライドが高くて、やっていることはちっとも分からない。
社会奉仕についても分かりにくいので、1年ではなく2年やった方がいいと思ったんですけど、ロータリーはそうじゃないんだと理論を言われるのです。
その時に、もの凄い鉄槌を受けました。
入会後、1年2年3年の方たちに分かりやすくロータリーが説明されれば、退会者が減って会員の維持ができていくと思います。
【茅ヶ崎湘南RC:神崎正陳】
単年度主義は守らなければならないものなのか、ウィーサーブは否定されるべきなのかという、ロータリー運動の特徴というべき制度や理念をめぐって、果てしない議論を重ねてきた結果、現実にウィーサーブや、多年度主義が当然視される風潮になりにかかっている、とは言い切れませんが、RIの強調事項が年度を越えて実行されているのが現実です。
これも単年度主義に反する考え方で、現実には長期計画になったように見えるのですけども、本会議の時にRIの長期計画とは、「ストラテジックな計画」を「長期計画」と訳しちゃったので、必ずしも単年度主義を否定しているわけではない、という意見がありました。
衣の下の鎧めいた話ですが、英語の表現を正しく理解し、かつ現実を冷静に見定めることが必要でしょう。
ロータリー運動の特色を見極めようとする時に、それを分明しにくいものにしてしまったのは、戦後のロータリー運動の誤りであったと思いますし、非常に難しい問題です。
単年度主義は多年度主義を否定するものではなくて、ある年度のクラブ会長と委員たちが、自分の自由な意志に基づいてクラブ運営ができるように、前年度に拘束されないように、しようという側面から来た発想でしょう。
そして次の年度の会長の、自由も保証しようということです。
多年度主義と、そこのところをどう調和をさせるかを考える必要があるのです。
このような特徴を持つロータリー・クラブの会員が、クラブ・ライフを通じて得られる純度の高い親睦を基盤として、ロータリアン相互の人格・能力の向上と職業倫理の高揚を図り、身に着けた「奉仕の理想」を社会のあらゆる面において実践するところに、ロータリー運動の第一義的な特徴があるのです。