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2.CLPと長期計画
サブリーダー 脇 洋一郎 (茅ヶ崎湘南)
私が担当する本日のテーマは、『CLPの長期計画』と『RI長期計画』についてです。

仲田リーダーから、分かりやすく話しなさいとご指導いただいております。
ところがこれが有る面で非常に分かりにくい、皆様に明解に説明する事が容易でない問題を含んでいるのです。

皆様、ロータリーの長期計画が二つあるのはご存知ですか?

ひとつは『RI長期計画』です。
これは日本では長期計画と呼ばれていますが、RIの公式言語である英語の正式名称は『Strategic Plan』です。日本語にすれば『RIの戦略計画』です。

もうひとつが『CLPの長期計画』です。
こちらはクラブが自分のクラブを改善し、より良くするための3年〜5年の計画です。
英語では、『Long-range goals』あるいは『Long-range vision』です。
日本語にすれば、『クラブの長期的な目標』という意味となります。

ロータリーの長期計画が、私達日本のロータリアンにとって分かりにくいのは、この二つの長期計画、

  ●RI Strategic Plan「RIの戦略計画」 と
  ●Long-range goals 「クラブの長期的な目標」 が

同一の「長期計画」という日本語で表現されていることに、原因があると思います。


「長期計画」という一つの言葉が、二つの違う概念を表しているという事実が原因となって、私達の理解を妨げているのです。

そこで私は、クラブの長期計画を立案する場合、まず二つの「長期計画」、「RI戦略計画」と「クラブの長期的な目標」の違いをしっかりと把握する事が大切だと思います。

クラブがCLPの長期計画(これはクラブの長期的な目標達成のための計画のことですが)を作成する際に、この点が明確になっていれば、RIの戦略計画を有効に活用して、より効果的な長期計画の作成が可能になると思います。

この二つの長期計画の違いはどこにあるのでしょうか。
CLPについては、現在当地区内の大半のクラブが採用していると思います。

CLPを採用するにあたって、クラブの委員会構成の簡素化がクローズアップされていますが、CLPではクラブの長期的な目標を定め、これを達成するための計画を立て実行に移す事の重要性が強調されています。

CLPのプランの施行の部分には次のように記載されています。



1.効果的なクラブの要素に取り組む長期計画を立案する。

『長期目標は、今後3年から5年にわたるロータリー年度に適用され、効果的なクラブの要素(会員増強、奉仕プロジェクト、ロータリー財団、指導者育成)に取り組むものとされます。
また目標は、これらの各要素においてクラブの成功を促す方策を含むものでなければなりません。クラブのリーダーシップ・プランが数年間にわたり進展するにつれ、これらの目標も随時更新されるべきです。』



クラブの長期計画を確保するために、委員会の継続性については次のように記載されています。


『各委員会活動の継続性を図るため、可能であれば、委員を3年任期で任命してください。CLPはその委員会において以前にいい点を務めた経験がある人が委員長を務めることを推奨しています。
それぞれの常任委員会は、クラブの年次目標及び長期目標を支えるような目標を設定すべきです。』



従来ロータリーは、単年度制を採用してきました。
毎年7月1日〜翌年の6月末までの1年間を区切りとして、会長・幹事以下の役職を交代し、奉仕活動等も単年度のうちに完結する事を旨としてきました。

このように、単年度を重視する活動計画では長期的な視野に立った計画・人材育成等が軽視されてしまいます。

そこでDLP・CLPは従来の方式を逆転して、長期的・継続的な方式を導入したわけです。

CLPのもう一つの特徴は、クラブの自主性の尊重にあると思います。
CLPの冒頭の部分には次のように記載されています。


『クラブ・リーダーシップ・プランとは、ロータリー・クラブに推奨される管理的枠組みであり、効果的なロータリー・クラブのベストプラクティス(最善の実践方法)に基づいて作成されています。それぞれのロータリー・クラブは独自に異なる存在であるため、CLPは、世界中のクラブの個々のニーズに応用できる柔軟性を備えています。』


このようにCLPとは、『効果的なクラブとなるための最善の実践方法に基づく管理的枠組みである』と規定されています。これを言い換えれば、『最善の方法論の追及』です。
そして、世界中のクラブの個々のニーズに合わせられる柔軟性を持っています。


クラブは標準クラブ定款に反しない限り、独自の価値観に基づいて、活動する自主性を保証されています。

この考えに沿ってCLPではロータリーの理想あるいは、ロータリーの使命・価値観・将来展望・ビジョン等は語られていません。

あくまでもクラブが最善の実践を行うための、管理的枠組みを提示しているわけです。


いま私は、『CLPではロータリーの理想・使命・価値観・将来展望・ビジョン等は語られていない』と申し上げました。

しかし現実には、ロータリーは世界の200以上の国と地域にわたって3万以上のクラブと120万人を超す会員を有しています。

RIはこれらの連合体として、ロータリーの綱領を推進するようなプログラムや活動を追求している、RI加盟クラブとRI地区を支援する事を目的としています。

RIは国際的な連合体として、ロータリーの綱領を推進するクラブと地区を支援するものです。
綱領とは、ロータリーは何のための団体なのかという目的を定めた大切なものであり、標準クラブ定款第4条の綱領に記載されています。

これはRI定款第4条と同一の内容で、世界中のロータリーはこの綱領のもとに活動しています。
しかし綱領はロータリーの究極の目的を定めたものであり、抽象的ですから、実際には綱領と現実のロータリー活動との間をつなぐ指針が必要となります。

そこでRIは、2002年に戦略計画委員会を発足させ、2005年の規定審議会の決議を得て、2007年6月に「RI戦略計画」を理事会承認しました。

その内容は、「RIの使命」「RIのビジョン」「標語」「中核となる価値観」「7つの優先項目」です。

この「RI戦略計画」の日本語訳が、「RI長期計画」です。


昨年の地区大会で開催された地区指導者育成セミナーの講師、RI長期計画委員の南園PGは、この日本語訳の理由を、平和を愛する日本人にとって戦略という言葉は戦争を連想させる言葉であり、日本人の感情になじまないので「RI長期計画」としたとお話しされました。

このプランは新旧二つありますが、第1次は2007‐10年までの3年間のものです。
現在は2010年7月に2010−13年の第2次のものに更新されています。

2010年版はのちほど高橋サブリーダーが紹介されますで、私は2007年版のプランについて要点をご紹介します。冒頭の部分に「使命とビジョン」が掲げられております。この部分はこのプランが何のために作られたのかを表明する重要な箇所なので以下に引用します。


『ロータリー・クラブの世界的連合体である国際ロータリーの使命は、他者に奉仕し、高い倫理的基準を促進し、事業と専門職務及び地域社会のリーダーの間の親睦を通じて世界理解、親善、平和を推進することである。
国際ロータリーのビジョンは、世界理解、親善、平和を推進するための「超我の奉仕」に対するその献身があまねく認知されることである。』



RIの使命とビジョンを私なりに解釈しますと、RIの使命はロータリー以外の人々に役に立つためにサービスを提供し、高い倫理的基準を確立し普及させ、そして世界中の人々の相互理解、親善、平和を促進することです。

それを成し遂げるものはロータリアンの親睦の精神です。
すなわち企業経営者・専門職・地域社会のリーダーからなるロータリアンの互いのフェローシップ、親睦の絆によって、この使命を推進するということです。


次に『ビジョン』ですが、ここでのビジョンとは、RIの追及している将来像を意味していると思います。

国際ロータリーのビジョン(今後追求する将来像)は、ロータリーが使命を遂行するために実践する献身的な奉仕の根底に「超我の奉仕」の精神が貫かれていることを、世界中の人々に知っていただく事が望ましいということだと考えます。

ここに「超我の奉仕」という言葉が出てきます。「超我の奉仕」とはRIの二つの標語のうちの、第1モットー『Service Above Self』の日本語訳です。

この標語の持つ意味を私なりに考えますと、「自己中心、利己的、自己保身等の自分自身の枠を超えて他の人々の為に奉仕する」ということだと思います。

自分の事ばかり考えていては周りに目が届きませんし、他の人のために何か役に立つことをする奉仕など不可能です。ロータリーは「超我の奉仕」の精神のもとに活動する組織であるという点を広く社会に認識されることが重要だということです。

2010年版の「RI戦略計画」は、建物を模した図として提示されています。
この中でビジョンは最上部の三角形の屋根の中に入っています。

そして「超我の奉仕」はビジョンの本文から外れて、屋根を支える横長の部分に独立して記載されています。

このことは、「超我の奉仕」がロータリーにとって、いかに重要な意味をもつ標語であるかを示しています。

次に「中核となる価値観」をご紹介します。

「中核となる価値観」とは、ロータリーという組織の文化の基本となる原理のことであり、ロータリーが創立以来育ててきた価値観です。

これらの価値観は、ロータリー組織を動かすリーダーシップの意図と方向性において、ますます重要性を増しているのだと説明されています。


  中核となる価値観は、5つあります。


【1】 奉仕
ロータリーの奉仕は世界理解と平和をもたらすものであり、私達の使命の主要な要素です。
ロータリーは個々のクラブの計画と実行を通じて、奉仕するものに喜びを与え、組織全体に奉仕の文化を創り出しています。

【2】 親睦活動
多くの人が集い、力を合わせて行うことにより、人類全体に奉仕する事ができます。
力を合わせて活動することにより、わしたちは多くの事を知り、豊かな人生を送り、広い視野を持つことになります。親睦は、国家・民族その他様々な違いを超えて、寛容の境地へと導きます。

【3】 多様性

奉仕の理想のもとに集う国際的な団体であるロータリーは多国間の多様性を認め、調和しなければなりません。また様々な職業人の多様性をクラブの中に反映させることにより、クラブは将来の繁栄へと向かうことができます。

【4】 高潔性
ロータリーの指導者と会員は活動実績について、また目標達成の過程について、説明責任を果たすことを約束し、期待されています。
ロータリアンは仕事において、個人的関係において、高い倫理観並びに職業意識を堅持しています。高潔性とは正直であり、強い倫理観を持ち、約束を守り、責任を果たすことです。

【5】 リーダーシップ
ロータリーは、各個人それぞれの取り組んでいる分野で、指導者として力を発揮している人々からなる、世界的な親睦集団です。
リーダーシップを伸ばすことは重要であり、メンバーは皆その資質を持っています。
ロータリアンは、これらの中核となる価値観を実際に用いて活動するリーダーです。


  続いて、中核となる価値観の結びの言葉があります。


「これらの中核となる価値観はすべて、私達が日常使用している『ロータリーの綱領』と『四つのテスト』に反映されています。これらの価値観は人間関係における高い倫理基準を定め、維持していくため、奉仕の理想を培い、支持するよう、私達を鼓舞・激励するものです。」


2007年版では続いて、7つの優先項目と項目ごとの目標が掲げられています。
この優先項目は、2010年版では3つの優先項目に絞られました。

「クラブのサポート強化」
「人道的奉仕の重点化と増加」
「公共イメージと認知度の向上」

・・・の3つです。

この点に関しては、後ほど、高橋サブリーダーからご説明がありますので、省きます。


2007年度版の最後の部分に、「戦略計画はクラブと地区にどのような影響を与えるか」という文章が有ります。

その中で、クラブと地区が独自の長期的目標計画を立てる際に、RI戦略計画の優先項目を土台として、各々の規模や会員の技能・奉仕を提供する地元地域のニーズに応じて、修正して用いることができると書いてあります。

もうひとつRIは、これら二つの長期計画を結ぶものとして、「長期計画立案の手引き」を発行しています。英文では「Strategic Planning Guide」です。

私はこの題名にある長期計画はクラブの長期計画を意味しているものだと思っていたのですが、実際はそうではなくて、クラブと地区の長期的目標計画を立てる際に、RI戦略計画の考え方を、上手く取り入れるための手引きなのです。


  次に、「長期計画立案の手引き」のはじめの部分を紹介します。


「長期計画は、個人、クラブ、あるいは地区が長期的なビジョンを描く際に、目標を設定するのに役立ちます。この手引きと付属のワークシートは、長期計画立案の出発点となります。」


この文章の初めと終わりに「長期計画」という言葉が使われています。

英語の原文を確認しますと、はじめの長期計画は「Strategic planning」であり、終わりの長期計画は「Long-range vision」です。

この文章は、クラブの長期的な目標を設定して、これを実行に移す計画を立てる際に、RIの戦略的計画が役に立つということを意味しています。

実際にRI戦略計画は、南園PGがロータリーの友2010年1月号で発表された「新RI長期計画」をお読みになればわかるように、広範なリサーチに基づき厳密な検討が加えられて更新された、効果的な内容をもつものだと思います。

従って、クラブの長期的な目標設定に際してRI戦略計画の長所を的確にとらえて、これを活用する事は大切なことだと思います。

だからこそRIは、日本のロータリアンに『二つの長期計画』が正確に受け止められるように配慮すべきだと思います。

今日ここにお越しの皆様も、クラブに帰られてクラブの長期目標の設定と実施の計画立案にチャレンジしてみてはいかがでしょうか。

そして、クラブをより活力に満ちたクラブへと変身させるために、ともに手を携えて前進して行きたいと思います。
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