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4.クラブ研修リーダーの役割
サブリーダー 石上 隆男 (伊勢原平成)
1.クラブ研修リーダーの誕生

2004年11月、RI理事会は効果的ロータリークラブの管理の枠組みとして、CLPを採用・決定しました。

CLPは、クラブの活性化プランであり、その主たるものはクラブ活性化のための組織再編であります。

会員数の少ない弱小クラブでも、何とか奉仕団体として自立していくための最小限度の管理組織(五つの常任委員会構成)を、また多くの会員を擁するクラブもこれを基礎として、必要に応じて常任委員会を加え、また小委員会を付加することが出来るという管理組織を想定したものが、RI理事会が提唱したクラブ・リーダーシップ・プランです。

その推奨された組織で注目された委員会が、「会員増強・退会防止委員会」及び「クラブ広報委員会」の常任委員会への編入であります。

これらの委員会は以前においては、クラブ奉仕委員会等の小委員会でありました。



●会員増強委員会及び広報委員会の活動と組織の強化


日本やアメリカのロータリー先進国における会員数が減少し、回復の兆しがありません。

会員数の減少により、RIを脱会若しくは吸収合併されたクラブも多々あります。

この現象は他の奉仕団体も同様と思われますが、まさにロータリークラブの存続をかけた時代に突入したものと思われます。

2011年1月のRI理事会において、RIの公共イメージと認知度を向上させる取り組みの一環として、2011〜12年度から広報補助金の年次予算を、200万ドルから400万ドルに引き上げることに同意しました。

更に、ロータリーの可視性と公共イメージを高めるため、理事会は、広報を目的とした2011〜12年度予算を最高100万ドル(1地区につき最高1万米ドルまで授与)とすることに同意しました。

以上のことから、RIが如何にロータリーの公共イメージ及びロータリーの認知度の向上を、世界中の地域社会に推進しようとしているかが伺えるわけで、このことは、会員増強にも繋がっていくものであります。

もとより、ノンロータリアンが持つ「ロータリーイメージ」は、次のようであります。


《1》ロータリーのことを良くしらない   
《2》ロータリーの目的は良く理解できない
《3》会員になる条件が厳しすぎる     
《4》参加するには経費が高い
《5》クラブはもっと柔軟性、多様性を尊重すべき
《6》ロータリーは閉鎖的又はエリート主義者の集団
《7》一体、ロータリーの倫理観とは何か


 2010.1月号 ロータリーの友 新RI長期計画(2010-13年度)について
 RI長期計画委員会委員 南園義一氏より引用




以上のように、一般社会においてロータリーのイメージは、決して良いものばかりとは言えないのであります。

地域社会にロータリーに関する情報を広め、クラブの奉仕プロジェクトや活動を広報することにより、地域社会の人々や組織、他団体等とのネットワークづくりが可能となります。

ロータリーに好ましい公共イメージが生まれたとき、会員の積極性も高まり、入会者も必然的に増加するものと確信します。


RIは、2010年11月の理事会で、RI長期計画に修正を加え「ビジョン声明」の代わりに、「ロータリーの本質」を採用しました。

『ロータリーの本質:地域の人々の生活を改善したいという情熱を社会事業に注いでいる、献身的な人々の世界的ネットワーク』であります。


以下に、ロータリーの友2011.4月号/松宮剛RI理事ノミニーの『クラブレベルを超える指導者を育成するとは』の投稿を、抜粋してご案内いたします。


いまRIが推奨するクラブ研修リーダー、並びにクラブ研修委員会のアイデアと意味は、RIが近年、いかにロータリーを捉え直し、クラブの意味を再定義したかという事実と密接に結びついているのだと思います。

すなわち「人道的奉仕活動の世界的ネットワークを構成する1単位としてのロータリークラブが、基本的な力をつけた上でネットワークを十全に機能させる。そのためにクラブ研修リーダーを誕生させた」ということだと思います。

かつてのロータリー情報委員会のように、単にロータリーの歴史や理念が一方向的に伝達されるだけでは不十分で、情報を受けたロータリアンが実践の重要性に目覚め、複数クラブの奉仕活動や地区主導の奉仕活動などの展開に必然的につながっていくという成果に到達してこそ、クラブ研修リーダー、並びにクラブ研修委員会の存在の意味があるのです。





2.クラブ研修リーダー制度について


以下、規定審議会で決議案として採決され、理事会・会合で決定された事項を列挙いたします。


(1)クラブ・レベルの研修

クラブ会長エレクトは、次年度にクラブの研修プランを監督するクラブ研修リーダーを任命することが出来る。クラブ研修リーダーの任期は1年であり、連続して就任できる任期は三期までとする。
クラブ研修リーダーは、すべての研修ニーズが満たされるようクラブ理事会及び各種委員会と協力し、また、支援とアイデアを得るために、地区研修委員会、クラブを担当するガバナー補佐、地区ガバナーと協力しなければならない。

ロータリー章典(8.090.1)、(2006年11月理事会会合、決定104号)
_線は筆者



(2)クラブの研修プラン

クラブは、以下を確実にするための包括的研修プランを作成すべきである。

  1.クラブ指導者が、適宜、地区研修会合に出席する。
  2.新会員のために一貫したオリエンテーションを定期的に実施する。
  3.現会員のために継続的教育の機会を提供する。
  4.全会員が指導力育成プログラムを受けることが出来るようにする。

ロータリー章典(8.090.1.)、(2006年11月理事会会合、決定104号)



(3)クラブ指導者育成セミナー

●目的
クラブ会員の指導力を育成することで、職業における日々の仕事を充実させ、将来のクラブ指導者を育成すること。

●参加者
関心のあるロータリアン

●推奨される議題(RIの推奨テーマ)
 《1》 コミュニケーション技能
 《2》 指導方法
 《3》 ボランティアの指導と意欲喚起
 《4》 個人指導
 《5》 時間管理
 《6》 目標設定と説明責任
 《7》 長期計画
 《8》 倫理(四つのテスト)
 《9》 統一見解の構築 *
 《10》 チームワーク

●組織者
クラブ研修リーダー、クラブ会長、ガバナー補佐、地区研修委員会

ロータリー章典(8.090.3.)、(2006年11月理事会会合、決定107号)


*(例示)つまり合意(コンセンサス)の構築とは、全員の、中でも特に異なる見解を持つ人々
のニーズを満たす解決策を見出すことです。これは妥協や降参を意味するのではありません。人々を合意に導くことによって、その決定は実行と継続が可能になるのです。

指導力育成プログラムを始めるための手引き 250−JAより



(4)クラブ・レベルの研修に対するガバナーの責務

ガバナーは、ロータリークラブが以下を含む包括的な研修計画を備えていることを確認すべきである。

 1.クラブ指導者が、適宜、地区研修会合に出席する。
 2.新会員のために一貫したオリエンテーションを定期的に実施する。
 3.現会員のために継続的教育の機会を提供する。
 4.全会員への指導力育成プログラム。
 5.その他の研修ニーズ

 (ロータリー章典(19.020.6.)、(2006年11月理事会会合、決定104号)



(5)研修・リーダーシップ委員会の設置をクラブに奨励するよう検討する件

新会員のロータリーに関する知識を深め、RIと財団から入手できるリソースに対する認識を高め、指導力を養うため、審議会決議10-01は、クラブ・リーダーシップ・プランが推奨する常任委員会に加えて、研修・リーダーシップ委員会をクラブが設置することを提案した。


決定:審議会決議10-01「研修・リーダーシップ委員会の設置をクラブに奨励するようRI理事会に要請する件」を受け、理事会は、

 1.本決議案を提出して下さったLille-Europeロータリー・クラブ(フランス、Nord)と第1670地区に感謝の意を表する。

 2.クラブのニーズに合う場合には、クラブで研修・リーダーシップ委員会を任命するよう奨励する。

 3.次年度のクラブ研修プランの監督を行う「クラブ研修リーダー」をクラブ会長エレクトが任命することを、『ロータリー章典8.090.1.節』が認めていることを再確認する。


(2010年6月理事会会合、決定188号)



現在、ロータリー章典は上記の(1)、(2)、及び(3)といったクラブ・レベルの研修について規定しており、その目的は、クラブ・レベルのロータリー研修を強化・充実すると共に、クラブの活性化とクラブ組織を強化することにあります。




3.包括的な研修

2の(2)における「包括的研修」の包括的とは、どのような意味なのでしょうか。

包括的とは、「全体を一つにまとめること」、「すべてをひっくるめているさま」をいい、類似する言葉として「総括的」、「総合的」などがあります。

「包括的核実験禁止条約」、「包括的経済連携に関する基本方針」や「若者の包括的な自立支援方策に関する検討会」などという使われ方をしています。

従って、「思いつき」や「スポット的」な研修計画ではなく、クラブの現状、クラブのビジョン等を評価、考慮した上で、ロータリーの全分野にわたって計画的かつ体系的な研修計画を構築することが必要であります。



4.クラブ研修リーダーの責務(推奨)

《1》会員のニーズ調査をする。
《2》クラブ会員が何をすべきか決めるために、クラブ目標を分析する。
《3》上記2つの責務を遂行する目的で、研修を企画する。
《4》新会員オリエンテーションを実施するために、会員増強委員会と協力する。
《5》会員候補者を教育するために、会員増強委員会と協力する。
《6》全会員に継続的な教育を提供することを目的として、毎週のプログラムを計画するために、クラブ管理運営委員会と協力する。
《7》募金活動や財団への寄付について会員を教育するために、ロータリー財団委員会とともに活動する。
《8》クラブ会員がロータリーとは何かを説明できるようにするため、クラブ広報委員会と協力する。
《9》次期指導者が地区研修のために準備を整えられるよう協力する。

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