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3)海外WCS/MGプロジェクトの紹介
サブリーダー 高木 直之 (かながわ湘南)
人間は死ぬ前に、「これは僕が作ったんだというものが1個位あれば良い」と誰かから聞いたことがあります。

「ネパールに立派な学校を作った」と言えるのは、実にすばらしいことですね。

今から2つに話を分けてします。

日本から世界へということ、世界から日本へということで、第一部は『日本から世界へ』の国際奉仕の話しをしようと思います。


震災直後、日本には116カ国から支援の申し出があり、1ヶ月以上たった今も、世界で被災者を支援する動きが続いています。

外務省のホームページには、世界109カ国から寄せられた草の根レベルの支援のエピソードが数多く掲載されています。

その中から、印象に残ったものをいくつか紹介させてください。


タイ、バンコクのスラム街では、募金活動が実施され、小さな子供を含む多くの人々が呼びかけに応じたそうです。

この様子はテレビのニュースでも放映されていたので、ご覧になった方も多いでしょう。

カンボジアでは、多くの方が日本大使館を訪れているそうです。


モンゴルの孤児院は、チャリティーコンサートをやって集めた寄付に加え、孤児たちが政府からの生活保護金の1カ月分(約1400円)を全額寄付してくれたそうです。

大使は、生活保護のお金は受け取れないと述べたそうですが、孤児院の校長先生より、孤児たちの強い希望によるものとして、「なにとぞ受け取っていただきたい」と申し出があったため、受領したという経緯がありました。

世界中で、数多くの決して豊かではないごく普通の人々から、義捐金がよせられています。

「寄付多かれど尊からず、少なけれど卑しからず」とロータリーでは言うと、尊敬する神崎PGから伺いました。大切なのは心です。

日本で電気通信に関する研修を受けた、元JICA研修生のエクアドル人は日本大使館を訪れ、福島原発における作業に志願しました。

大使館員が状況を説明すると、こういったそうです。

「危険なことは十分承知している、また保障等求める意志もなく、ただ役に立ちたい一心で志願している。不可能なことは承知したが、仮に派遣が可能になったときには連絡してほしい。」


最後に、中国四川省の中学校の先生から届いた「見舞い状」を紹介します。

「我々もかつて同じように恐ろしい災難を経験し、美しかった故郷を失いました。しかし、我々は『皆の意志は城となる』ことを知っています。皆さんは、『あきらめない』という言葉とともに拳を握りしめ、立ち上がれるはずです。災害は一時のものにすぎません。いつかまた同じ土地の上で楽しく暮らせるときが必ず来ます。空で瞬く星を見たら、我々が皆さまのために祈っているのだと思ってください。」


ごく普通の人々からの、寄付や勇気ある申し出、心温まる励ましの言葉に、人種や宗教、年齢や性別を越えた人間のすばらしさと、ロータリーの原点を見るのは、私だけではないはずです。

困っているひとがいたら助けてあげたい、悲しんでいるひとがいたら慰めてあげたい、これが人間です。

誰の胸にも、思いやりの心がやどっている。

この心、善意がロータリーの原点であり、原動力です。


次年度テーマの「博愛をひろげよう」の部分の英語は to embrace humanity です。

embrace は母親が子供を抱き締めるように、「大切にする」 humanity は人類という意味にもなりますが、「人間らしい心」をも意味します。

自分の心の中をみつめて、人間らしい暖かい思いやりを大切にしよう、とも解釈できるすばらしいテーマだと思います。


確かに被災し、家・財産をすべて失い途方にくれている人々、未だ避難所で電気や水道のない暮らしを余儀なくされている人々、地震・津波・原発の三重苦に苦しむ福島の人々に、支援の手をさしのべねばならないのは当然です。

しかし、被災した子供達の中に、貧困のため親にわずかばかりの金で売られ、売春婦として働かされたあげく、エイズを患った子どもは1人もいません。

読み書きができない大人も、1人もいないでしょう。

たとえ避難所にあっても、きれいな水がないために下痢で命を落とす子どもは1人もいません。

一日1ドル以下生活するいわゆる絶対的困窮者には、おそらく自らの命以外、失うものすら何もないのです。


世界には絶対的困窮者がいまして、1日1ドル以下のお金以下で生活している人を言うんだそうですが、彼らはおそらくどんな津波が来ても、命以外失うものがない。もしもモンゴルの孤児院の子供達が、生活保護費1ヵ月分を被災者のために寄付してくれるなら、我々の給料1ヶ月分で報いてやりたい。

そしておそらくは、彼らの崇高な寄付の目的である、日本の孤児の支援に邁進する。

それでこそロータリーではないでしょうか?
米山奨学金の半分を、震災孤児に対する奨学金にはできないものでしょうか?


タイのスラム街の人達が、本当にお金のない中で寄付をしてくれるなら、おそらく貧しさそのものが世界からなくなるようにするのが、ロータリアンの務めではないでしょうか?

『それでこそロータリー』って歌がありますけど、まさに、『それでこそロータリー』だと思います。

地区内のクラブを見ますと、「国際奉仕したいんだ」と言う気持ちはあっても、どうしたらいいか、きっかけを探しているクラブは多いと思います。

お集まりの皆さんの中で、今まで「国際奉仕」というものに、クラブとしても個人としても直接関わったことが一度も無い方、その他の方、結構いらっしゃいますね。

そういう人達の為に横須賀西クラブの発表でしたっけ、『NPOにお金を出して』っていうお話でしたよね。

これが結構、良い手段なんですよね。NPOには経験がありますし、現地にスタッフもいます。


例えば、ネパールの学校のように、柱だけ建って終わってしまう心配をする必要がない。報告も日本語でしてくれます。ちゃんと見せてくれます。

・・・という訳で皆さんにお勧めしたいのが、『かものはしプロジェクト 』という、東南アジア、特にカンボジアで、「売春を強要される子供を減らそう」ということを目標に活躍しているNPOです。

売られちゃって逃げてきた人達を、死なない様に育てる孤児院で孤児を支援するとか、女性の職業訓練もおこなっています。

諸悪の根源は『貧困』です。
お金があれば、子供を売る親はいないと思います。

貧困そのものを無くすために職業訓練をしたり、認字教育をしたいということで、是非やりたい。これは、20〜25万で大丈夫です。

震災のためにいくらかかるか分かりませんが、その人達は25万で助かります。


アムダは元の母体で、そこから分かれて出た「アムダ社会開発機構」として、途上国での地域開発、経済開発をやっている団体があります。

そこに鈴木俊介という男がいまして、ロータリー財団の学友で、彼もロータリー財団のお金を持って留学した人ですが、彼が今やっているプロジェクトは100%信頼できます。

あいつにお金を渡して何かしくじったら、私は命を取られていいです。

『彼はそういう男じゃない』もしそうなったら、あいつの手の届かない所で何かが起こったんだと思います。ザンビアに自転車を贈ったことがあります。

ザンビアは貧乏で、エイズが蔓延しています。

エイズが蔓延していると、肺病になり死にかけます。

そういった人達に薬を渡さないと大変なので、「保険プロジェクト」をやっていますが、保険プロジェクトの保健師さんはみんなボランティアです。

患者の家を回らなければならないですが、ザンビアに地下鉄なんてありません。

歩くしかないので、自転車をということで、僕はあちこちのクラブで卓話をするとお金をくれるので、この国で自転車を20台くらい買って、希望の車輪群、英語では「ホイールズ・オブ・ホブ」という名前にしたんですが、そういうものをお贈りしました。


あるとき写真が来て、真っ黒い顔をしたお姉さんやお兄さんが、自転車の所でニコニコして写真を撮っているんですよ。

「これは良いことしたかもしれない」って思いましたよ。

これも1台1万です。
中国製の。

日本から何故持って行かないかというと、壊れた時修理できないからです。
部品の販売もないので。

現地で買うと中国の部品の販路がありますので、壊れても直せるということで、現地で買った方が良いと。


こういった、様々なパッケージをご用意いたしました。

確かに先ほど申し上げました通り、震災の人達を助けることは大事だと思います。

がしかし、世界から日本にこれだけのお金が来ているんですよ。

我々は被災してません。
家もある。
職もある。
大丈夫です。

・・・だったらその少しの部分を、国際奉仕に振り分けても宜しいんじゃないでしょうか?


日本はこの震災にあっても、国際奉仕は忘れなかった。
ロータリアンの心意気を、是非我々で次年度は見せましょう。

・・・ということで、私の発表は終わります。

ありがとうございました。


(拍手)



【司会】
ありがとうございました。
非常に感動するお話をいただいて、同じロータリアンでも違うもんだなと。

コメディアンでも通用しますよ。
ありがとうございました。

トイレどうしますか。みんな行かれる?
じゃあ、行ってきてもらって、あとは中坪さん発表してください。
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【総合司会】 サブリーダー 宮崎 泰光 (相模原グリーン)